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ニュースリリース | 日本格付研究所 JCR 16d0200

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16- D- 0200

201 6 年 6 月 1 0 日

総合化学各社の 16/ 3 期決算の

注目点

総合化学各社(旭化成、昭和電工(12 月決算)、住友化学、東ソー、三井化学、三菱ケミカルホールディ ングス(三菱ケミカル)、宇部興産の7 社)の16/ 3 期決算および17/ 3 期業績予想を踏まえ、株式会社日本 格付研究所(J C R) の現況に関する認識と格付上の注目点を整理した。

1. 業界動向

15 年度の業界の事業環境は全般に良好に推移した。マクロ面では、中国の景気減速傾向の強まりや内外 の金利情勢の変化などがあったが、これらによるマイナス影響は限定的であった。為替は終盤に円安トレン ドからの反転があったものの、年間を通じては 15/ 3 期に比べ円安となった。また、原油価格の下落を背景 に原材料やユーティリティコストの低下が進んだことが、収益のプラス要因となった。

石油化学系事業に関し、15 年度の国内のエチレン生産量は 678 万トンとなり、前年度に比べ小幅増加と なった。石油化学製品の内需はやや弱含みとなったが、輸出が堅調に推移したことが生産量を押し上げた。 特に、エチレンはアジア域内の新増設が少なかったことに加え、東南アジアでの設備トラブルの影響もあり、 需給がタイト化。円安も輸出の追い風となった。設備面では住友化学が 15 年 5 月に、また、旭化成が 16 年 2 月に自社エチレン設備を停止し、業界全体で 1割超に相当する能力が削減された。こうしたことを背景に、 国内エチレンセンターの稼働率は 90%台の水準が継続。15 年 11 月以降は 90%台後半で推移し、フル稼働に 近い設備稼働状況となった。一方、合繊原料などの基礎化学品やウレタン原料は、中国における過剰能力な どを背景に厳しい事業環境が続いた。ただ、事業縮小やユーティリティコスト削減などで、各社の収益は回 復傾向となってきた。赤字が拡大した製品もあるが、これについても構造改革の実施により、今後の収益悪 化には歯止めが掛けられた。

非石化系事業も 15 年度は概ね良好な事業環境となり、収益も全般に堅調な推移となった。液晶向けなど の情報電子関連は期後半に減速感が強まり、14 年度に比べ収益が低下したが、自動車向けの成形部材用樹脂 や食品向け包材などでは原材料価格の下落も追い風となり、収益が拡大した。このほか、二次電池関連や農 業関連では市場成長に伴う販売増加が収益面のプラス要因となった。ヘルスケア分野では、医薬品は診療報 酬改定の影響で国内の事業環境は厳しさを増しており、一部では人員削減などのリストラが実施された。た だ、ロイヤリティ収入の拡大(三菱ケミカル)や海外での主力剤の販売拡大(住友化学)、医療周辺分野製 品の販売拡大(旭化成)などが、各社の収益押し上げ要因となった。

2. 決算動向

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17/ 3 期(昭和電工は 16/ 12 期)は、前期までに比べ円高前提となることが収益の下押し要因となる。同 期の7 社合計営業利益(期初会社計画)は 7, 330億円(三菱ケミカルは国際会計基準任意適用開始のため同 社公表のコア営業利益を使用)と、16/ 3 期に比べ減益となる見込み。個社別でも、営業増益予想は東ソーと 昭和電工の 2社のみとなっている。ただ、収益水準(7 社合計)は歴史的に見れば高く、また、構造改革負 担がピークアウトすることで、親会社株主に帰属する当期純利益(7 社合計)は、16/ 3 期の 3, 024 億円に対 し、17/ 3 期は 3, 750 億円と増益の計画となっている。

財務面に関し、ここ数年、7 社合計の有利子負債は4 兆円台の水準が続いていたが、16/ 3 期末は15/ 3 期 末に対し 2, 900 億円弱の減少となり、4 兆円を下回った。個社別で有利子負債が大きく増加したのは 16/ 3 期 に大型買収を行った旭化成のみで、同社以外については減少した。一方、為替換算調整勘定やその他有価証 券評価差額金の悪化等の影響で、16/ 3 期末の 7 社合計自己資本は15/ 3 期末に対し減少した。ただ、各社の 利益蓄積が進んだことで、15/ 3 期末に続き 4 兆円台の自己資本水準が維持された。この結果、16/ 3 期末 DE R(7 社合計有利子負債/ 7 社合計自己資本)は 0. 98 倍となり、8 期ぶりに 1 倍未満となった。また、手元 流動性を考慮した同期末ネット DE R は 0. 72 倍となり、過去 20 年で最低水準にまで低下した(図表 4)。

3. 決算に

格付上の

注目点

業界業績は 13/ 3期をボトムに復調が進んだが、これは構造改革や成長戦略の取り組みに加え、12年末以 降の円高修正が大きく寄与した。また、16/ 3 期は原材料価格の低下も収益を押し上げた。ただ、為替はこれ までの円安基調が反転し、足元では各社の前提以上に円高となりつつある。このことは収益面へのマイナス 影響のほか、石化製品の流入増加を通じ、再度、国内のエチレンセンター再編の議論や動きを活発化させる 端緒となることも想定される。また、足元では原油価格が上昇しつつあり、この傾向が続いた場合、主原料 のナフサ価格の基調もこれまでの動きから反転する可能性がある。仮にそうなった場合、16/ 3 期はプラス要 因となった価格改定の期ズレが、17/ 3 期はマイナス要因となる。これら諸条件は世界的な景気動向や金融情 勢、地政学リスクなどに左右されるため予想は困難だが、各社の事業動向や収益に与える影響も大きいだけ に、その動向は注視していく必要がある。

ここ数年、焦点となってきた不採算事業の立て直しについては、一部でまだ余地を残すものもあるが、業 界全体として財務的な負担は峠を越えたと考えられる。一方、成長戦略は、対象市場や個社の競争力の違い などで、収益寄与の明暗が分かれている。16/ 3 期は各社とも営業増益を確保したが、個社によっては主力事 業の収益低下を成長戦略でカバーしきれず、業績復調がやや緩慢であるケースも見られる。17/ 3 期は為替や 原材料など前提条件の悪化が予想されるだけに、収益面では近年の各社の構造改革の取り組みの成果が、よ り本質的に問われるものとなろう。引き続き、市場変化にあわせた事業ポートフォリオの変革を進めていけ るかが、大きな注目点である。

財務状況は業界全体としては改善の方向性が維持されており、17/ 3 期もこれが継続すると考えられる。 近年のバルクケミカルの縮小、スペシャリティケミカルへのシフトに伴い、設備投資負担は軽減されてきて いる。大型 M&A などの実行で、一時的に有利子負債が大きく増加するような局面も見られるが、近年は各 社で事業運営における財務規律への意識が強まったことで、有利子負債の継続的な増加は抑制されるように なっている。もっとも、自己資本水準の違いなどで、各社の財務体力には較差もある。それぞれの状況に応 じた適正な財務運営が行われるかには、今後も注視していく必要がある。

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(図表 1)総合化学 7 社の連結業績・財務の推移 (単位:億円、倍、%)

売 上 高 営 業 利 益 経 常 利 益

親 会 社 株 主 帰 属 当 期 純 利 益

有 利 子 負 債 自 己 資 本 総 資 産 DER

自 己 資 本 比 率

旭 化 成 15/ 3期 19, 864 1, 579 1, 665 1, 057 2, 664 10, 827 20, 145 0. 25 53. 7

( 3407) 16/ 3期 19, 409 1, 652 1, 614 918 4, 482 10, 419 22, 117 0. 43 47. 1

17/ 3予 19, 100 1, 450 1, 430 920 ─ ─ ─ ─ ─

昭 和 電 工 14/ 12期 8, 766 209 221 35 3, 651 3, 182 10, 111 1. 15 31. 5

( 4004) 15/ 12期 7, 810 337 322 10 3, 508 3, 151 9, 413 1. 11 33. 5

16/ 12予 7, 650 360 310 200 ─ ─ ─ ─ ─

住 友 化 学 15/ 3期 23, 767 1, 273 1, 574 522 9, 802 7, 913 28, 804 1. 24 27. 5

( 4005) 16/ 3期 21, 018 1, 644 1, 712 815 8, 315 7, 669 26, 622 1. 08 28. 8

17/ 3予 20, 300 1, 400 1, 500 800 ─ ─ ─ ─ ─

東 ソ ー 15/ 3期 8, 097 514 602 623 2, 715 2, 890 7, 642 0. 94 37. 8

( 4042) 16/ 3期 7, 537 694 658 397 1, 996 3, 402 7, 348 0. 59 46. 3

17/ 3予 7, 200 720 720 470 ─ ─ ─ ─ ─

三 井 化 学 15/ 3期 15, 501 420 444 173 5, 474 4, 062 14, 118 1. 35 28. 8

( 4183) 16/ 3期 13, 439 709 632 230 4, 718 3, 820 12, 589 1. 24 30. 3

17/ 3予 12, 500 700 620 360 ─ ─ ─ ─ ─

三 菱 ケ ミ カ ル 15/ 3期 36, 563 1, 657 1, 631 609 16, 036 9, 810 43, 230 1. 63 22. 7

( 4188) 16/ 3期 38, 231 2, 800 2, 706 464 14, 658 9, 323 40, 616 1. 57 23. 0

17/ 3予 36, 000 2, 350 ─ 800 ─ ─ ─ ─ ─

宇 部 興 産 15/ 3期 6, 418 241 232 146 2, 384 2, 633 7, 115 0. 91 37. 0

( 4208) 16/ 3期 6, 418 414 396 191 2, 153 2, 666 6, 798 0. 81 39. 2

17/ 3予 6, 550 350 330 200 ─ ─ ─ ─ ─

7社 合 計 15/ 3期 118, 975 5, 895 6, 370 3, 164 42, 726 41, 317 131, 166 1. 03 31. 5

16/ 3期 113, 861 8, 251 8, 040 3, 024 39, 830 40, 449 125, 503 0. 98 32. 2

17/ 3予 109, 300 7, 330 ─ 3, 750 ─ ─ ─ ─ ─

※ 1 有利子負債は借入金、社債、C Pの合計。昭和電工は劣後ローンの資本性考慮。

※ 2 三菱ケミカルの17/ 3予の営業利益はコア営業利益(営業利益から非経常的な損益を除外)、親会社株主に帰属する当期純利益は親会社所有者に帰属する当期利益を表示

(図表 2)総合化学 7 社の営業利益推移

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(図表 4)総合化学 7 社のネット DE R 推移

(出所:図表 1∼4 とも各社決算資料より J C R 作成)

【参考】 発行体:旭化成株式会社

長期発行体格付:A A 見通し:安定的

発行体:昭和電工株式会社

長期発行体格付:A - 見通し:安定的

発行体:住友化学株式会社

長期発行体格付:A + 見通し:安定的

発行体:東ソー株式会社

長期発行体格付:A 見通し:安定的

発行体:三井化学株式会社

長期発行体格付:A 見通し:安定的

発行体:株式会社三菱ケミカルホールディングス

長期発行体格付:A + 見通し:安定的

発行体:宇部興産株式会社

長期発行体格付:A - 見通し:安定的

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■本件に関するお問い合わせ先

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